いま、AIがとんでもないスピードで進化している。
GPT系の大型言語モデルをはじめ、あらゆる生成系AIが日進月歩どころか1週間単位で新機能を放り込んでくる時代だ。
少し前まで「画像生成AIがすごいらしい」「チャットボットが思った以上に使える」と言っていたのが、もう「自動的に連続タスクを走らせる」とか「ウェブブラウザを自力で操作して検索する」とかが当たり前になりつつある。
この“AIバージョンアップの嵐”の衝撃波は、ソフトウェアやアプリ開発の世界だけでなく、ビジネス全体を大きく揺さぶる。
さらに「オフィスワークは壊滅する」「アプリやSaaSすら不要になる」なんて声も飛び交いはじめているわけだ。そんな過激な話題が連続して登場すると、「本当にそんな未来がすぐ来るの?」と不安や興味を抱く人も多いだろう。
本記事では、これまでの一連の議論——
「AIが進化すると、小手先の工夫やハックが次世代モデルであっという間に不要になり、“まるごと任せた方が早い”時代が来る」
「コンテンツ制作側にはメリットしかない」
「オフィスワークが消えて、経営者と一部エリートだけで会社を回す世界へ向かうのか?」
「そもそもSaaSやアプリケーションも必要なくなるんじゃ?」
——といった論点を、一つの大きなストーリーとしてまとめていく。
- AIの爆発的進化にどう向き合えばいいのか
- 小手先のハックが陳腐化する理由
- オフィス業務・ソフトウェア・コンテンツ制作の行方
- 結局、人間の仕事はどうなるのか?
これらを横断的に整理しながら、「大幅な自動化」はもはや避けられない事実として、でも「だからといって人間の役割がゼロになるわけじゃない」ポイントも掘り下げる。
むしろ、AIに置き換えられない仕事ってなんだろう? それはどう変化するのだろう?
——そんな疑問を、できる限り具体的に考えてみたい。
この先、AIが何でもできるようになったら、本当にアプリもSaaSも要らなくなるのか? 仕事はどう激変するのか? 歴史を振り返っても前例がない速度で進化するAI時代は、まさに“アップデートが前提”の世界。
あなたの疑問や不安、好奇心を満たしつつ、ここから訪れるであろう未来を一緒にのぞいてみよう。
【1. AIの爆発的進化と“小手先ハック”の陳腐化】
◇ディープラーニングの夜明けから繰り返される「置き換え」の歴史
まずは前提として、AIが進化すると「これまで人間が苦労して組み上げていた工夫」があっという間に不要になる、という話を整理しておきたい。
これはディープラーニングが世に広まったときから何度も繰り返されてきた現象だ。
- かつては「特徴量エンジニアリング」といって、人間の手で画像や音声の特徴を抽出して、機械学習モデルに食わせるのが常識だった。
- しかしディープラーニングがブレイクスルーを起こした結果、大量データをひたすらネットワークにぶちこむだけで、最適な特徴を勝手に学習してしまう。
- 従来の“手作業”はあっという間にオワコンと化し、専門家たちが積み上げたノウハウが一瞬で吹き飛ばされた。
これと同じことが、いま大規模言語モデル(LLM)やAIエージェント系でも発生中だ。
「AIの性能がまだ足りないから」という理由で、ワークフローを固めたり、業種特化のルールベースを作り込んだりしていたら、次世代のモデルがアップデートされて何でもまるっとやってのける……。
そうなると、必死に作り上げたシステムが一気に陳腐化してしまう。まさに「小手先ハックの儚さ」である。
◇AIエージェント化とエンドツーエンドの波
とくに話題になりつつあるのが、「AIエージェント」という概念だ。チャットボットがさらに進化し、外部ツールやブラウザを自動的に操作して人間の代わりに仕事をする。
そうした流れにおいて、開発者が「AIの能力不足を補うために厳密なタスク分割やワークフローを組み込む」アプローチを採用しても、それが長続きしなくなる可能性が高い。
- たとえば「判断力が弱いから全部ステップ化してAIをガイドする」とか
- 「財務分析の部分は専門パッケージを作り込んで連携させる」といった工夫
これらは次の世代のAIが“判断力や専門知識”を標準搭載し出すと、一気に無駄に変わるかもしれない。
それなら、いっそのことAIにエンドツーエンドでやらせるほうが長期的には楽じゃないのか? そんな声が、世界中の開発コミュニティで高まっている。
◇一方で“小手先”はゼロにはならない?
ただし現状、生成AIであっても間違いなく万能ではないため、多少の補助的ハックは必要になる場面が多い。
プロンプト設計やロール設定、タスクの追加制御など、人間がちょっと手を加えればぐっと品質が向上するケースは山ほどある。
だから「小手先の工夫なんて一切やめろ」という極論は、2025年現在まだリアルじゃない。
ただ、AIのスペックが1年後には何倍にもなるかもしれない以上、大掛かりなシステムを作り込むのはやめたほうがよさそうだ。
数千万円や数億円かけて専門システムを構築したところで、次のAIエンジンがリリースされた瞬間に全部ゴミになるかもしれない。
そういう悲劇を避けるには、「ちょっと足りない部分を軽く補う程度のハック」にとどめておき、あとはAIの進化に合わせてサッと乗り換えられる柔軟性を大事にするほうが良い。
【2. コンテンツ制作側が享受する“AI進化メリット”】
◇文章制作との相性は抜群
AIの進化と聞くと、エンジニアや開発者がどれだけ苦労するのか、という切り口が多い。
しかし裏を返せば、コンテンツの制作側、特に文章ベースの仕事をしている人々にはメリットばかりだ。
モデルがアップデートされるたびに、リサーチ能力や文章生成の精度が上がり、いままで自分だけでは到達できなかったクオリティを“共作”感覚で出せるようになる。
- プロット構成の段階からAIにアイデアを出してもらい、そこに人間の発想を重ねる
- 大量のテキストリサーチを一瞬でこなしてエッセンスを提示してもらう
- 文章の推敲や言い回しの提案をサクサク受けながら作業を進める
こうしたプロセスがどんどん洗練されていく。エンジニアは必死にAIの動きを制御しようと苦心しがちだが、文章系クリエイターはAIのバージョンアップをただ享受すればいい立ち位置にいる。
この構図は、今後ますます顕著になるだろう。
◇創造のスピードが桁違いに
コンテンツ制作のポイントは、まとめ記事やブログ記事のように“定型化できる部分”が少なくないことだ。
一定のリサーチやキーワード抽出、言い回しの最適化——AIが得意なパートが明確に存在し、その領域だけAIにやらせればいい。
一方、人間は企画や視点のユニークさ、読者との共感の取り方に注力する。これで数倍の生産性向上が実現するし、何よりライターや編集者にとって“AIに潰される”リスクよりも“AIを武器にできる”恩恵のほうが大きい。
リアルな現場でも、すでに「文章を半分AIが書いている」というケースは多い。
ニュースレター作成やSNSポスト案作りなど、業務のあちこちでAIを下支えにすると、大きな工数削減とクオリティ向上が同時にやってくる。
エンジニアサイドが「この小技がもう陳腐化した…」と嘆くのとは対照的に、クリエイターは「AIモデルの性能が上がるたびにむしろ嬉しい」という世界線にいる。
【3. オフィスワークは消滅する?——連続タスク化のインパクト】
◇ChatGPTタスク(&派生技術)の衝撃
最近話題になったのが「ChatGPTタスク」という新機能。これは指定した時間に自動でタスクを走らせ、ニュースまとめやレポート生成など、定期的に行う処理を丸投げできる機能だ。
これが実用化すれば、「毎朝9時に特定のサイトからニュースピックアップ→要約→メールで送信」という仕事が完全自動化される。もはや秘書的役割すらAIが担うわけだ。
しかも、ここに外部連携が加わり始める。
ブラウザ操作機能や各種クラウドAPIと接続すれば、単純なオフィス系ルーチンは軒並み置き換えられる可能性がある。たとえば:
- Googleカレンダーの予定を読み、1週間分の会議アジェンダを自動生成
- 社内ポータルを開いて最新情報を収集し、まとめレポートを共有ドライブに保存
- 定例ミーティングの議事録案を自動で書き起こし&送付
「え、もう人がやらなくてもいいのでは…?」と思うような使い方がどんどん増えるだろう。
◇“経営者+優秀な数名だけで回る会社”シナリオ
このあたりから議論が加速して、「オフィスワークが一気になくなるのでは?」とか「必要コストが桁違いに下がるから、経営者と有能数名だけいれば会社は成り立つんじゃないか?」という過激な説が出てきた。
経営者の立場からみれば、人件費は固定費の中でも特に大きい。
そこをAIオートメーションで一気に削減できるなら、そりゃ“利益率の向上”という点で非常に魅力的だ。定型事務やルーチン業務をAIに任せ、企画・戦略立案は一部の精鋭が行うだけ……。
理論上は確かに成立しそうだ。
ただ、現実には下記のような問題もある:
- AIにすべて任せた際のミスや責任は誰が負う?
- 不測の事態やイレギュラー対応はどうする?
- 組織や業務フローはそんなに単純化できるのか?
完全にすべてをAIと数名の人間で回すには、いろんなハードルが存在する。だから“今すぐそうなる”とは言い難いものの、大幅な人員削減が可能になる未来は、多くの業種で現実のものとなるだろう。
特にスタートアップなどは「最初からオフィス不要」「フルリモート+AIアシスタント」で事業を運営するケースも増えそうだ。
【4. SaaSやアプリは本当にいらなくなるのか?】
◇汎用AIが“全部”内包する未来像
もう一つ議論になっているのが、「AIが万能化すれば、個別のアプリやSaaSなんて要らなくなるのでは?」という見方だ。
たしかにチャットウィンドウ一つで、データ処理から文書生成、画像編集、レポート配信、会計処理までをまかなえるなら、いちいちアプリを立ち上げる手間が不要になる。
- たとえば「Google Workspace」「Slack」「Adobeツール」「各種CRM/SFA」など、従来はいくつものSaaSを組み合わせて業務を回していた。
- でもAIエージェントがすべてを包括し、必要な時に必要な処理を一括で呼び出せるなら、ユーザーは“チャット”だけで十分かもしれない。
そうなると、従来のSaaSベンダーはどうなるか? 大げさに言えば、その存在意義が危ぶまれる。
◇とはいえ“UI/UX”は必ず必要になる
ただし、汎用AIがあらゆる機能を内包していたとしても、それを使いこなすユーザーインタフェース(UI)はなくならない。
チャット一辺倒の操作は便利なようで、マウスクリックやドラッグ操作、グラフ表示など視覚的アシストを求めるシーンは多い。
- 複雑な設定や大規模なデータを扱うとき、自然言語だけでは混乱するかもしれない。
- 視覚的に管理したほうが効率的な場面や、ルール設定をドラッグ&ドロップで行いたいニーズもある。
だからこそ、各種SaaSやアプリケーションは形を変えつつも“UIレイヤー”として残る可能性が高い。
もっと言えば、汎用AIを下支えするプラットフォームやクラウドインフラ、セキュリティ機能などの存在が重要になるはずだ。
- AIにすべて丸投げできるとはいえ、それを運用・管理する裏方の仕組みは必要
- データの保存・共有・権限管理といった企業向けの要件は意外と複雑
最終的に“アプリやSaaSが完全に消える”というより、今の形とは違うスタイルに変容していく、という見方が現実的だろう。
たとえば「AIのフロントエンドに馴染むよう特化したUIを提供する“SaaS風サービス”」のような形だ。
【5. 本当に“やることがなくなる”のか?——仕事の変質を考える】
◇技術が進歩すると仕事はどうなるか? 歴史の教訓
「機械に仕事を奪われる」とか「AIが全自動でやってくれるから人間要らない」という議論は、実は産業革命の時代からある。
蒸気機関や機械化によって人間の肉体労働が置き換えられたとき、人々は同じように「仕事がなくなる!」と騒いだ。だが蓋を開けてみれば、別の新しい仕事や産業が生まれ、社会全体としては生産性が上がり、雇用形態がシフトしていった。
AIでも同じことが起こるだろう。たとえば:
- 事務処理が自動化されれば、その分のコストが削減され、新サービス開発にリソースを振り向けられる
- AIが生成したアウトプットを監修・評価・改善する役割が生まれる
- 企業や組織では「AI運用管理」や「AIが苦手な部分をカバーする業務」が増える
本当に人間が一切必要ない完全自動化が実現するには、まだいくつもの法的・技術的・社会的ハードルがある。
短期的には「ルーティン作業がごっそり減る」「現行のオフィスワークが激変する」ところまではほぼ確実だが、それをもって人間の仕事が全部消滅するわけではない。
むしろ仕事の形が変わり、新しい職種やビジネスモデルが生まれるのが自然な流れと言える。
【6. “超少人数経営”と組織の未来】
◇少数精鋭で回せる業種は増える
具体的にイメージしやすいのは、スタートアップ企業だ。AIの高度自動化をフル活用し、事務スタッフや開発チームを大規模に抱えることなくプロダクトを提供する。
AIがマーケティング資料やSNS運用、ニュースレター作成、顧客サポートの一次対応までこなすなら、わずか数人のコアメンバーだけで回せるかもしれない。
- 開発者1名+CEO1名+AIアシスタント
- デザイナーやライターは外部リソースをAI経由で利用(クラウドソーシング+AI提案)
こんな形で事業を回すベンチャー企業が、これから大量に現れてもおかしくない。実際、一部では「自分とAIだけで起業した」「日中はAIエージェントが顧客対応し、夜はレポートをまとめてくれる」という事例も出始めている。
◇大企業ではどうか?
大企業の場合、レガシーシステムや社内統制、膨大な人員を抱えているので、そう簡単に“超少人数化”できるわけではない。
けれど、各部署の実務をAIに置き換えようとする動きが加速すれば、いずれにせよ事務職・管理職の数は縮小していくかもしれない。
- 財務管理や人事評価のレポートはAI自動化
- 商談資料や顧客プレゼンはAI生成
- データ分析や顧客傾向レポートも自動
そうなると「生産拠点」「技術部門」「企画戦略部門」以外は極端に小さくなる企業が増える可能性はある。
とはいえ、大企業ほど法規制や社会的責任、コーポレートガバナンスの観点から「人間の責任者」を置かざるを得ないシーンも多いはずだ。
だから、“一部の優秀な人材+経営層”だけにまで削れるかというと、そこまで単純ではない。
【7. AIを支えるインフラ・プラットフォーム領域はむしろ拡大する】
◇“AI万能化”には隠れたインフラが必要
よく「AIがなんでもやってくれるなら、アプリやSaaSはいらないよね」といわれるが、実際にはAIを動かすための大規模インフラは不可欠だ。
クラウド上に膨大なGPUリソースを確保し、大量のデータを安全に保存し、セキュリティやバックアップを整える——こうした作業は企業の運用担当や外部サービスなしには成り立たない。
- たとえばAWSやAzure、GCPといったクラウドプラットフォームは今後さらに需要が高まる
- AIが扱うデータのセキュリティ、プライバシー、法規制への対応も専門的な知識が必要
ある意味、AIエンジンが高度化するほど、裏で支えるプラットフォームやインフラの重要性は増していく可能性がある。
だからこそ「既存のSaaSは不要になる」説があっても、一方では「AI特化型プラットフォームやインフラビジネスが大きく伸びる」という見方も同時に成り立つ。
【8. 人間にしかできないことは残る——“置き換え”の限界】
◇意思決定と責任の所在
AIが高度化すればするほど、結果の責任はどこに帰属するかが重要になる。医療や金融、法務などの領域はもちろん、一般企業でも大きな意思決定をAIに丸投げするにはリスクがある。
誤った判断や事故が起きたときに、AIに責任を取らせることはできないからだ。
結局、最終決定は人間がする必要があり、そのための情報をAIが提供する形が現実解だろう。
つまり、人間は“最終審査員”や“監督”としての役割を果たすことになる。そして、その役割を果たすためには高度な知識や判断力が求められる。
まさに“優秀な人材”の需要がここにある。
◇予測不能なイレギュラー対応
社会やビジネスでは、常に想定外のトラブルや突発的な事態が起きる。そのとき、柔軟に状況を判断して対応策を打てるかどうか。
AIがいくらデータからパターンを学習しているとはいえ、完全未踏の事態には人間の総合的な判断が必要になる場合がある。
特に物理世界での現場対応やコミュニケーションは、まだまだAIが不得意とするところだ。
◇共感や人間関係の構築
AIが文章や画像を生成し、ロジックを組み立てるのは得意になったとしても、人間同士のコミュニケーションや感情面でのやり取りは別次元だ。
ビジネスの大部分は人間同士の信頼関係に支えられていて、「自分が話している相手がロボットだと分かったら成立しない」ケースも出てくる。
顧客との信頼構築や交渉、チームビルディングなど、ヒトがヒトとして対峙するからこそ機能する領域は、しばらくの間はAIに置き換えられないはずだ。
【9. 結論:仕事は減るが、“ゼロ”にはならない——ただし変化は加速する】
ここまでの流れをまとめると、以下のようになる。
- AIの驚異的な進化速度
- 次世代モデルの登場によって、小手先のハックや従来の“部分的な工夫”がすぐ陳腐化する。
- エンドツーエンドでAIに任せる流れが加速し、複雑なエンジニアリングを頑張るより、柔軟かつ軽量な仕組みを“必要に応じて”導入するほうがベター。
- クリエイターはAI進化の“恩恵を直撃”で受ける
- コンテンツ制作(特に文章)は、AIの性能向上を利用しやすい分野。人間の表現力+AIの生成・要約・構成力で圧倒的な生産性アップが見込める。
- エンジニアリング周りでハックや特化機能を作り込む人たちは、モデルアップデートで無駄になるリスクが高い。
- “オフィスワーク消滅”は極端だが、定型事務の激減はほぼ確実
- 自動タスク実行やブラウザ操作、レポート生成などがAIで可能になると、多くのオフィス業務が不要になる。
- 経営者の視点では、大幅に人件費を削って“少数精鋭+AI”で事業を回す方向にインセンティブがある。
- ただし、不測の事態対応や責任の所在、組織文化など考慮しないと完全自動化は難しい。
- SaaSやアプリが完全に消えることはない
- 汎用AIが何でもできるようになっても、UIや特化機能、法規制対応、データ管理などは依然として必要。
- 形は変化するが、“AIを活かすプラットフォーム”としてのサービスは残る。
- AIが当たり前になるほど、クラウド・インフラビジネスはむしろ拡大する可能性も。
- 仕事はなくなるのではなく“シフト”する
- 歴史的にみても技術革新はいつも同じ流れ。単純作業が機械化されても、別の新しい仕事が生まれてきた。
- 今回もオフィス系ルーチンは減るが、AIを使いこなす側や、AIが不得意な領域(対人関係、感情労働、創造性・共感性)に新たな需要が生まれる。
- 大企業か中小企業か、業種や社会インフラの差で実現スピードは違う
- すぐに極端な“ゼロ人化”は起きない。ただ、少数精鋭化の波は業界を問わず着実に広まっていく。
- コールセンターやバックオフィスが大幅に縮小されるケースは少なくないかもしれない。
- AIの導入スピードは企業文化やレガシー環境によって差が出るが、長期的には避けられない流れ。
【10. 今後を見据えて、どう動けばいいのか?】
◇“AIが苦手な部分”や“人間ならではの価値”に注力
結局、一人ひとりがこれからの働き方を考えるとき、AIには難しい要素をどう扱うかが鍵になる。たとえば:
- 対人コミュニケーション能力や共感力
- 芸術的・文化的価値を創造するセンス
- 最終的な意思決定や倫理面での判断
これらは現時点のAIがまだ苦手(あるいは人間が責任を負う必要がある)領域だ。ここに注力すれば、機械に取って代わられないポジションを築ける可能性が高い。
逆に、流れ作業的な事務タスクを延々とやっている人は、早めにスキルチェンジを図ったほうがいいかもしれない。
◇AI活用スキルは、あらゆる職種で必須に
もう一つ強調しておきたいのは、“AIを使いこなす人”と“使いこなさない人”の間に圧倒的な生産性の差が生まれるという点だ。
オフィスワークが消滅するといわれる一方で、ビジネスを回すのに必要な雑務は依然として存在する。だが、それをAIにうまく投げられる人は、爆速で作業を終わらせられるわけだ。
- 一昔前、Excelを使いこなせるか否かで事務処理の効率に大きな差がついたのと同じ構図
- 今後は自然言語でAIに指示し、複数のタスクを自動化しながら最終アウトプットを人間がデバッグ・修正する能力が求められる
つまり「自然言語プロンプトをどう組むか」「AIとのやりとりのベストプラクティスを知っているか」が、働く上での当たり前のスキルになる。
これを習得している人材が評価されやすくなるのは目に見えている。
オフィスワーク全体が消えるわけではなく、“AIと二人三脚でこなすワーク”へ移行すると考えるほうが建設的だ。
【最終章:AIは加速するが、人間の物語は終わらない】
振り返ると、AIの爆速進化がもたらすインパクトは凄まじい。
小手先のエンジニアリングが次々と陳腐化していくのは間違いないし、オフィスの定型業務もゴッソリ消失するだろう。
中には「会社は経営者+エリート数名+AIだけでいい」「SaaSやアプリを個別に使う必要もなくなる」というシナリオが声高に叫ばれるのも頷ける話だ。
しかし、テクノロジーの歴史を紐解けば、いつの時代も**“新しい仕事”や“新たな役割”が創出され続けてきた**。
AI時代も例外ではない。クラウドやインフラを整備・運用する人、AIが出した結果を監査・修正する人、そして対人コミュニケーションや創造性を求められる仕事は残るし、むしろ必要性が増すかもしれない。
一方で、確実にいえるのは、現行の大量の業務や職種が激変するということ。
特にルーチンワークや単純作業的なオフィスワークは、急速にAIへ置き換わる可能性が高い。
少人数で高いパフォーマンスを上げる企業が台頭し、既存の在り方に大きな変革が起きるだろう。
そこに戸惑いを覚える人もいるだろうが、変化を受け入れてAIを駆使できる人材が次世代を先導していく。
本記事で見てきたように、「小手先ハック vs 次世代AI」「コンテンツ制作への恩恵」「オフィスワークの自動化」「SaaS消滅論」など、多くのテーマが渦巻いているが、どれも根底には**“AIの進化速度”と“人間の仕事の再定義”**がある。
こうした激流の中では「よく分からないから静観しとく」では手遅れになりかねない。むしろ、積極的にAIと向き合い、自らの役割をアップデートし続けることが、これからのキャリア設計の鍵を握るだろう。
最後に、この記事を読んで「やっぱりAIには勝てないのか…」と落胆する必要はないと言っておきたい。
勝ち負けの問題ではなく、AIをどう自分の武器にするかが焦点だ。自動化できる部分をどんどんAIに任せ、人間しか担えない創造的・戦略的な要素にエネルギーを注げば、これまでになかった速度とクオリティで結果を出せるようになる。
その先には、きっと今まで想像したことのない新しい価値やビジネスチャンスが待っているはずだ。
「小手先の努力で追いつくより、根底の流れを読み取り、自分がどう変わるかを考える」——
このスタンスさえ持っていれば、AI時代の大波に飲み込まれることはない。
むしろサーフボードのごとく、うまく波に乗って新たな可能性を切り開いていく道がここにある。AIが進化するごとに、われわれの世界は少しずつ形を変え、でも人間の物語はまだまだ終わらない。
むしろ、今が次の幕が開く始まりなのだ。
■追伸:ビジネスを自動化するための無料講座
「ネット集客と販売を自動化するなら, 最低限これだけは知っておきたい」という内容を1冊の教科書としてまとめました。
また, 最近のAIの台頭を受けて, これをどう捉え, どう使うかといった内容も加筆しています。
投稿者プロフィール
-
近況:Netflix, ゲーム, 旅, 趣味の日々。
■趣味
読書, 映画鑑賞, 音楽, 旅行
■ビジネス歴
・2011年9月頃にオンラインビジネスに参入
└ブログ, SNS運用, YouTubeなどの各ジャンルを経験
・オンラインビジネスチームへの参画
└各プロモーションのディレクター兼コピーライター,
他社へのコンサルティングなどを経験
└他社とのジョイントベンチャー(共同事業)
└海外スタートアップへの参加(コミュニティマネジメント, コピーライター)
■現在
・オンラインスクールの運営
・個人, 法人向けのマーケティング, 商品開発等のサポート
■考え方
バイト, 会社員, フリーランス, 経営者...などの働き方を経験した結果,
「群れるより1人で稼ぐ方がストレスが無い」と気づく。
現在は集客, 販売, サービス提供を仕組み化(自動化)。
■活動目的
「自由な人生を実現したい」
「ネットビジネスに興味がある」
「始めたけど結果が出ない」
という人へ最適解を提供。
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