はじめに
世界がどんどん“カオス”化している。ある日ニュースを開けば、フジテレビ系列が不祥事を起こしてスポンサーが離れ、信用を喪失し始めた話題が躍る。別の日には、Solanaという高速ブロックチェーン上でDEX(分散型取引所)の取引量が爆発的に伸び、「もう中央集権型の取引所は時代遅れ」だと煽る声が飛び交う。さらに、真偽不明の「トランプ・ミームコイン」がSNSを席巻して、人々を困惑させる。
どれも無関係に見えるが、掘り下げると一本の筋が通っている。「中央集権」の揺らぎ、あるいは「中央の崩壊」と「分散」の加速だ。テレビ局や大企業のような従来の巨大組織がガタガタと揺らぎ、ユーザー同士が直接つながる分散コミュニティや、ブロックチェーンを使った新しい取引形態へと急速にシフトしつつある。
しかしその一方で、「分散、分散!」と叫ぶだけでは解決できない混乱も生まれている。誰が本物で、どれが詐欺なのか? 大手の信用が落ちるなら、次はどこを頼りにすればいいのか? そして、トークンやDAO(自律分散型組織)を作るのは実は簡単だけれど、有意義に運営するのは至難の業……。
この記事では、そうしたカオスの真っ只中にある状況を振り返り、そこに通底するテーマを探り当てる。そしてその先に、「じゃあビジネスとして何ができるのか?」という具体的な話を掘り下げていく。結論からいえば、DAOをいきなり立ち上げるより、AIを使ったコンサルティングなどの形で、分散や混乱を“うまく利用”する道筋が見えてくるかもしれない。
この混沌をいかに眺め、いかに自分のチャンスに変えるか。それを読み解くヒントを、ここで惜しみなく深堀りしていこう。
◆1: 崩れゆく中央集権と生まれる分散型の波
中央管理者の威光が失墜し、ユーザー同士のコミュニティが活発化する——この現象が、今あらゆるところで起きている。
●1-1: 伝統的大企業・メディアの失速
フジテレビという大手テレビ局の例を挙げよう。かつては圧倒的な視聴率とスポンサーを誇り、テレビをつければフジ系番組がいつも流れていた。それが最近では不祥事への後手対応や不透明な社内の動きが明るみに出て、スポンサーが離れたり、視聴者がSNSで猛烈に批判したりしている。番組制作の現場でも、下請けのスタッフが激務を訴えたり、さらに企業内部の問題がリークされたりと、昔なら考えられないほど“権威”が簡単に崩れていくのだ。
原因はいくつもある。SNSの台頭により、視聴者が自分で情報を発信し、拡散し、批判できるようになった。メディアが一方的に情報を“垂れ流す”時代は終わり、多様な声が集まる場が生まれている。さらに“信用”という intangible(目に見えない)資産が、ネットでは一瞬にして揺らぐ。昔ならテレビが謝罪番組を放送すればそれで収束した話でも、今はSNSで検証材料が次々と晒されて炎上が止まらない。
結果として、スポンサー企業も「この局に広告料を払う価値があるのか?」と冷静に判断するようになった。昔は視聴率の絶対王者だったとしても、今はYouTubeやNetflixなどほかの媒体がある。ユーザーが見たいものを自由に選ぶ世界で、フジテレビだから絶対安心、という神話は消えている。
これはまさに“中央集権的メディアの終わり”を象徴する出来事だ。もちろん他のテレビ局が全く同じ道をたどるとは限らないが、大手がこぞって慎重になり、視聴者やスポンサーに頭を下げる姿勢に変わりつつある。これだけでも「中央を牛耳る権威が意外に弱い」という事実を物語っているといえる。
●1-2: DeFi・DEXの急伸が示す分散化の加速
伝統的な大企業やマスメディアが揺らぐ一方で、暗号資産(仮想通貨)界隈では“分散型”が一気に盛り上がっている。典型的なのはDecentralized Exchange(分散型取引所)、通称DEXだ。ユーザー同士が直接取引を行うために中央管理者が存在せず、「取引所がハッキングされて資産が消える」「口座凍結」などのリスクが小さいというメリットが注目されている。
特にSolana上のDEXは、1秒間に数万件のトランザクションを処理できるほど高速で、手数料も安い。これにより「CEX(中央集権型取引所)を使わずに済むじゃないか」と一部の投資家や開発者が熱狂している。何より、ある日の取引量が24時間で100億ドルを超えたとされ、他チェーンを圧倒する“支配力49%”を記録したという話題が出ると、SNS上でも「もはやCEXは遅すぎて役立たず」という嘲笑まで飛び交うようになった。
しかし、その裏で問題もある。高性能を謳うSolanaは、過去にネットワークが停止するトラブルを起こしたこともある。分散型といっても、実際にはノードの数や開発チームの中心メンバーの影響力が強いので、完全に“中央不在”とは言いがたい面もある。
それでも、確実に「中央集権が絶対」という神話は崩れ始めているのがポイントだ。CEXでよくある“入出金が詰まる”“KYC手続きが面倒で送金できない”などの事態に嫌気がさして、DEXへ流れていく流れは今後さらに進むかもしれない。ユーザー同士が自分のウォレットから直接トレードする利便性を手にしてしまうと、「もう真ん中の巨大な会社は不要」となるのは当然の帰結でもある。
●1-3: トランプミームコインの狂騒と“信用のなさ”
そして極めつけは「真偽不明のコインがいきなり大暴騰して、時価総額が数十億ドルに膨れ上がる」という謎の現象だ。“トランプ前大統領が公式に出した”という触れ込みのトークンがSNSで広がり、多くの人が「これ本物か? ハックされた偽物か?」と混乱した。確証がないまま価格だけが跳ね上がり、初期に買った投資家が爆益を手にしたという噂まで流れる。
もし本当にトランプ氏本人が裏で関わっていたら、これは政治・経済両面で大騒ぎになる。ただ、実際は本人公式なのかアカウントがハッキングされたのか、不透明なままだ。さらにミームコインは得てして価値が無いに等しく、投機目的だけで急騰し、あとで暴落して大勢が被害を被るシナリオも珍しくない。
ここで浮かび上がるのが「中央のお墨付きもないのに、みんな飛びつく」という事実だ。昔なら「大手銀行が認めた金融商品じゃないと怖い」とか「権威ある企業が発売した商品以外は信用できない」といった心理が強かった。しかし今は、SNSの“勢い”や“バズ”でワッと盛り上がるだけで数億〜数十億ドルが動く世界になっている。
これは一見「詐欺が横行して危ない」とネガティブにも見えるが、裏を返すと「人々が中央の承認を待たずに、自分の判断で飛び込む」マインドが普及しはじめたともいえる。正しいかどうかより先に、「もし本物なら一発当てたい」という欲望が勝るほど、いまや情報は分散化し、誰がチェックもできないほどのスピードで拡散する。
◆2: DAO幻想とその難しさ——「分散化は簡単じゃない」
カオスの裏側には「じゃあ、みんなDAOを作ればいい」といった盛り上がりもあるが、実際のところはそう単純ではない。
●2-1: DAOは立ち上げるだけなら一瞬
「DAOを作りたい」「自分たちのトークンを発行したい」という声があちこちから出始めた。その動機は、中央集権に振り回されない、自分たちで自由に活動したい、コミュニティ同士でお金を回したい……といったものが多い。確かに、技術的にはツールを使えば数分でERC-20トークンを発行できるし、投票システムやウォレット管理のマルチシグなども、すでに便利なプラットフォームが整っている。
例えば「Aragon」というサービスを使えば、誰でもコミュニティのガバナンス設定やトークン発行、さらには資金の保管方法をひと通り整備できる。開発の知識がなくてもテンプレートを当てはめるだけで、DAOの形はすぐ作れる。やろうと思えば、普段からSNSコミュニティを回していた人が、「よし、じゃあ明日からDAOにするか」と言って着手できるほど手軽なのだ。
ところが、ここが罠でもある。簡単に作れるがゆえに、実際の運営方針やメンバー間の合意形成が追いつかず、「結局、どう意思決定するの?」「誰が本当にやる気あるの?」という部分が曖昧になりがち。さらにトークンを発行しただけで、そのトークンを使って何をするのかが明確でない場合、コミュニティメンバーは意味が分からず離れていく。
DAOの一番の要は「分散型のガバナンスがうまく機能するか」にあるが、人間社会はそう簡単に合議制を回せるわけではない。リーダーシップが欠如すれば空中分解するし、逆に“事実上のリーダー”がワンマンでコントロールしているなら、もうそれはDAOではなくなる。そして「投資目的でトークンを買っただけの人」と「本気でコミュニティ運営したい人」の温度差が生まれ、いつの間にか崩壊するケースも珍しくない。
●2-2: 資金調達と法規制のハードル
「DAOのトークンを売り出して資金を集めたい」と思ったら、ここで金融法・証券法の問題が浮上する。国によっては、トークン販売が“未登録証券の違法販売”とみなされるリスクがある。日本も含め、多くの国では暗号資産を使った資金調達に厳しい目が注がれており、何らかの形で規制対象となる場合がある。
さらに、DAOそのものを法人格としてどう扱うのかも、現状グレーだ。アメリカの一部州では「DAO LLC」として登録できる制度があるものの、国際的に見ればまだまだ事例が少なく、課税や責任の所在が曖昧。うかつに多額の資金を集めたあとで、「税務署から追徴課税」「規制当局から注意勧告」などが飛んでくると大変なことになる。
したがって、ちゃんと専門家を入れて設計しないと、せっかくの分散型コミュニティが法的リスクの塊になってしまう。運営メンバーが「いや、俺は知りません」「責任取れない」と逃げたらカオスどころか炎上で終了という悲惨な結果もあり得る。ここを甘く見ている人が多いのが現状だ。
●2-3: 分散化とコミュニティ運営のジレンマ
本来のDAOは、中央管理者がいなくても、メンバー全員が投票や合意に基づいて物事を決めるのが理想とされる。しかし、それは現実的にはものすごく手間がかかる。小さな意思決定まで全部コミュニティ投票にかけるのか? そもそもメンバーの多くが参加意欲を失っていて、投票すら集まらない“幽霊DAO”にならないか? などの問題が出てくる。
また、コミュニティに多様な人が集まるほど、意見の対立も起こる。トークン保有量が多い人が投票権を牛耳ってしまう仕組みだと、「お金で発言力が変わるのか?」と公平性を疑問視される。逆に一人一票にすると、今度は“大口投資家”がコミュニティへの出資意欲を失ってしまう可能性がある。
結局、「DAOをやる」というのは技術云々より、人間の集合知をどうコントロールするかの難題に向き合う作業になる。テクノロジーで簡単に解決できる問題じゃないから、安易に「DAO化しよう」と言い始めると泥沼化するリスクが高い。だからこそ、最近は「立ち上げるだけならツールで一発。でも運営は地獄」という声が増えているわけだ。
◆3: 混沌を味方につける——AI活用コンサルの可能性
分散化ブームに流されてDAOを立ち上げるより、現時点ではAIを組み合わせたコンサルティングのほうが、ビジネス的にハードルが低くて成果を出しやすい。ここでは、その具体的なアイデアと強みを見ていこう。
●3-1: AI×コンサルで高速化・高付加価値化
従来のコンサルティングは「現状ヒアリング→課題分析→施策提案」という流れを、人間が主導でやっていた。これは確かに深いコミュニケーションが必要な場面もあるが、一方で大量のデータ分析やレポート作成など“時間のかかる下準備”が多かった。だが、ここにAIを導入するとどうなるか。
まず、クライアントのビジネスデータをAIに食わせれば、瞬時にグラフやトレンドが可視化され、改善ポイントの初期仮説まで自動で出せることがある。もし顧客リストや広告費用の使い方などのデータを大量に持っている企業なら、なおさらAIの強みが生きる。人間コンサルは、そこに“現場感覚”や“応用力”を加えて仕上げの提案をするだけでいい。
結果、「下準備に膨大な工数を割いていた部分が削減」されるため、コンサルタントは複数のクライアントを同時に高速で回せるようになる。さらに、短時間で出力できる割に価値は高いので、高単価設定でもクライアントが納得しやすい構図が生まれる。極端に言えば、「週1回のオンライン戦略ミーティング+AI分析レポート付き」という形で数十万円〜数百万円のサービスにすることも不可能ではない。
ここで「分散型コミュニティ」や「トークン発行」をわざわざしなくても、十分に“おいしい”ビジネスを作れるのは大きな魅力だ。要するに、今の時流では「分散=最先端」みたいなイメージがあるけれど、無理にDAOを立ち上げるより、AIをコンサルに組み込むほうが手っ取り早く成果を出しやすいのだ。
●3-2: コミュニティ×AIが生むスケールメリット
さらに一歩進んで、1対1コンサルだけでなく「会員制コミュニティ」にAIサポートを組み込むモデルも考えられる。たとえば、ビジネスに悩む経営者たちを集めたコミュニティを運営し、そこにAI分析のチャットボットを導入。メンバーが「新商品の広告効果を試算してほしい」「検索キーワードをリストアップして」といったリクエストを出すとAIが即座に回答し、それをコミュニティ内で共有していく。
すると、個々のメンバー同士が「うちも似た悩みがある」「それならこのノウハウが使える」と情報を補足してくれるようになり、自然発生的にナレッジが溜まっていく。そして管理者は、定期的に人間コンサルとして突っ込んだアドバイスを投げることで、有料コミュニティの満足度を高められる。
これによって、1対多で効率的に指導やサポートが可能になるし、会員同士のデータや成果事例を活かしてAIモデルを強化していけば、より高度な回答が得られるようになる。いわば“分散型”コミュニティの恩恵を受けつつ、中心の管理者(コンサルタント)がAIを活用することで全体を円滑に回せるという構図だ。
しかも、ここで「トークンを発行しない」のは大きな利点でもある。法律や税務の面倒ごとに巻き込まれにくく、サポート体制も「よくあるオンラインサロン+AIサポート」で済むから、初期導入の敷居が低い。DAO化のハードルに苦しまずとも、“実質的な集合知”を活かせるわけだ。
●3-3: 将来的にDAOやトークンを導入する余地
とはいえ、今後コミュニティが大きくなり、強固なメンバーシップが形成されるなら、将来的にDAO化を検討してもよい。参加者が増えて、「このコミュニティはもう管理人がいなくても盛り上がる」「メンバー全員で投票して方向性を決めたい」という流れが自然に起こる可能性もある。その段階で、改めてトークンエコノミーを組み込むと、「コミュニティ通貨による報酬制度」「投票ガバナンスの透明化」といった利点を得られるかもしれない。
ただし、それはあくまでも「必要に応じて」導入すればいい話であって、最初からDAOやトークンを“カッコいいから”と乱発するのはリスキーだ。運営ノウハウがないままに分散を標榜すると、結局中心が曖昧になって混乱したり、すぐに“死んだ”コミュニティになってしまう。
一方、AI×コンサルは比較的すぐに始められ、収益化もしやすい。顧客が明確に得られる価値は「データ分析」「施策の具体案」「戦略立案の高速化」なので、それに十分な対価を支払う企業や個人は多いはずだ。コンサルタント側が競合に対して圧倒的なスピードや精度を誇れれば、差別化にもつながるだろう。
「いまこの時点でDAOを作るメリットより、AIコンサルでビジネスを回したほうが早い」という結論に至るのは、決して消極的ではない。むしろ“混沌としたトレンド”を冷静に見極めたうえでの最善策とも言える。
◆4: 混沌を活かすための7つのアクションプラン
ここまでの流れを踏まえ、実際にどんな行動を取ればいいのか。「分散型の波を感じるけれど、やみくもにDAOやトークンを作りたくない」という人のために、具体的なアクションプランを7つ提案する。
●4-1: まずは小規模でAI活用コンサルを試す
大規模にいきなりやろうとせず、手始めに1社または数社を対象としたミニコンサルを走らせるのが賢明。クライアントのビジネスデータを預かり、AIツールで分析・提案をまとめる。そして定期ミーティングでフィードバックし、成果を測定するという流れを実践することで、自分自身が「AIを使いこなす感覚」を身につけられる。
特にGoogleスプレッドシートやBIツール(Power BI、Lookerなど)に加え、ChatGPTなどのLLMを組み合わせると、テキスト生成からデータ解釈まで多くの作業が一気に楽になる。最初は多少手間をかけてワークフローを整備する必要はあるが、一度パイプラインができれば次のクライアントにも流用できる。
ここで得た成功事例やナレッジをブログやSNSで公開すれば、「あの人はAIを活用したコンサルができる」と注目される可能性もある。企業が自社でAIチームを雇うより外部コンサルのほうが安上がり、というロジックも説得力があるから、うまく市場ニーズにはまるかもしれない。
重要なのは「AIは完璧ではなくとも、初期段階の情報収集やレポート化に強力な力を発揮する」という点。コンサルタントの頭脳と組み合わせることで、圧倒的スピードで成果を生めるのが最大の魅力だ。
●4-2: 会員制コミュニティ×AIサポートを構築
次のステップとして、数十人〜数百人くらいの規模で会員制のオンラインコミュニティを作り、そこでAIアシスタントを導入してみる方法がある。DiscordやSlackなど、メンバーが日常的に交流できるプラットフォームを準備し、そこにChatGPT API連携のボットを仕込む。
たとえば、メンバーが質問を投げると、AIが即座に「売上予測モデル」「SNS広告の最適化ヒント」「メールマーケティングのテンプレート案」などを提示してくれる。もちろん単なるAI任せではなく、コミュニティマネージャーやコンサルタントが要所要所で“人間のレビュー”を加えることで、質を高める。
このやり方のメリットは、1対多でのサポート形態が可能になるため、単価を下げても十分な利益が見込める点だ。会員一人ひとりに専属コンサルを付けるのは難しいが、AI+コミュニティ運営ならコストを抑えられる。さらにメンバー同士がノウハウや成功事例を共有することで学習が加速し、コミュニティ全体の価値が高まる。
結果として、「AI活用コンサルコミュニティ」というユニークなサービスを展開できれば、分散型SNSや他のオンラインサロンとの差別化につながる。ここで実績を積み上げた後に、「トークンで追加要素にアクセスできる」などを検討する余地も生まれる。
●4-3: トークンやDAOは“必要になったら検討する”方針
すでに述べたとおり、トークン発行やDAO化はハードルが高いので、最初からやるより「コミュニティが盛り上がってきて、本当に分散型ガバナンスを望む声が強まったら導入する」のが賢明。明確な資金調達プランや使い道が決まっていれば別だが、そうでないなら“無理やり”トークンを作っても混乱するだけだ。
もちろん今すでに「実はすでに100人以上のコミュニティメンバーがいて、自治的に動く仕組みが欲しい」という状況なら検討していい。ガバナンス投票ツールやマルチシグウォレットなどを導入し、ルールを整備するメリットはある。しかし、法的リスクや運営体制、税務も見据えて慎重に進めたい。
いずれにせよ、DAOやトークンが“特効薬”のように見えるのは危険な幻想だ。技術的に簡単だからこそ、後から抱える課題は膨大になる。AIを活用したコンサルやコミュニティ運営のほうが、現時点では実務的かつスピード感があり、成果につながりやすいというのは、ぜひ覚えておいてほしい。
●4-4: フェイク情報やハッキングへの注意
分散型や暗号資産の世界は、どうしても詐欺やハッキングが多い。トランプミームコインのように、真偽が怪しい情報でもSNSを駆け巡り、一部の人は大儲けし、一部の人は大損をするという事態が日常茶飯事だ。
このカオスを上手に味方につけるには、「フェイクに惑わされない」「コミュニティやビジネス仲間と情報を共有する」など、基本的なリテラシーを高めるしかない。分散型社会では、誰もあなたを守ってくれないし、被害が出ても自己責任となるケースが多い。
だからこそ、コンサルタントとしての立場でクライアントに助言するときには、セキュリティの基礎やスキャムの見分け方などを教える価値がある。「必ず複数ソースで確認する」「いきなりDMで勧誘してくるトークンは疑う」など、基本中の基本ができるだけで被害を大幅に減らせるのだ。
この点は、分散・自律の世界が進んでいくほど重要になるだろう。中央が倒れたあとの世界では、誰もが自分の身は自分で守る必要があるという、ある種“冷酷”な事実を認識したうえで行動するしかない。
●H3-4-5: 5. ネットビジネス(情報販売)でもAIを積極活用
もしあなたが情報販売やコンサルティングの分野で活動しているなら、AIを使わない手はない。たとえば、メールマガジンのコピーをAIに下書きさせて、自分なりに手直しして完成させるとか、顧客が入力した質問データをAIで要約・分析して、すぐに返信できる仕組みを作るなど、いくらでも活用の余地がある。
特にコピーライティングやブログ記事作成などは、AIが下書きを生成してくれるだけでも大きく時短になる。もちろんそのまま使えば“AIくさい文章”になりやすいので、人間の編集が欠かせない。しかし、ゼロから書くより圧倒的に速い。
また「顧客が出した悩みや課題をデータベース化→AIでカテゴリー分け」みたいに、ナレッジベースを構築するにもAIは有効だ。将来的には、あなたのビジネス特有のデータを学習させた“オリジナルAIコンサルタント”を育てることも夢ではない。そのAIが顧客対応の一部を代替し、あなたはよりクリエイティブな部分に注力できるようになる。
いわゆる「ネットビジネス界隈は胡散臭い」と思われがちだが、AIを取り入れつつ、堅実で具体的な価値を提供できれば差別化は十分可能だ。特に競争が激しくなりがちなセールスコピーやマーケティング支援の領域で、AIを使いこなす強みを獲得すれば、ライバルとの差を大きく広げられるだろう。
●4-6: カオスこそがチャンス——誰も正解を持っていない現状
中央の崩壊、分散の台頭、フェイク情報の氾濫、そしてAIの急速進化——まさに世界はカオスだ。しかし、そのカオスがあるからこそ、新規参入のチャンスがたくさん生まれる。
もし既存のメディアや大企業が完璧に盤石で、すべてのビジネスが既得権益に守られていたら、新参者には何も入り込む余地がなかっただろう。ところが今は、メディアも政治も金融も揺らぎ、人々の意識も「何を信じていいか分からない」状態になっている。だからこそ、独自のコミュニティを作って周囲を巻き込むチャンスがあるし、AIを駆使して高速で結果を出すコンサルに需要が集まるわけだ。
一方で、混乱やフェイクが多いからこそ、真面目にやる人が足元をすくわれないよう十分に用心する必要もある。勢いで分散型プロジェクトに飛びついて大ダメージを負う人が続出しているのも事実だ。ただ、そこで後ろ向きになるか、あるいは自己防衛をしつつ前進するかで、大きく未来が変わる。
要は、「誰も正解を持っていない」からこそ、先陣を切った者が新しい常識を作れるともいえる。特にAI時代の到来は、従来の常識をガラリと変え、まだ誰も見たことのないビジネスモデルを生み出しうる。カオス=危険だが、伸びしろは最大、と考えると分かりやすいだろう。
●4-7: 次の時代は“AI+人間”が多面的に活躍——DAOやトークンは補助ツール
最終的に行き着くのは、「AIが活躍し、人間がそれを補強し、必要に応じて分散型ツールを使う」というハイブリッドな未来だと思われる。たとえば、AIがデータ分析やコピーライティングを自動化し、コンサルタントは顧客心理や戦略の決定など、人間ならではの部分に注力する。
コミュニティ運営においては、(1)AIによる質問応答や課題整理、(2)人間によるコミュニケーションや意思決定サポート、(3)必要があればDAO的な投票システムを導入し、トークンでインセンティブを付与する、といった複合的な形が実用的だろう。
「分散化こそ正義」「中央集権は敵」という二元論に陥るのは危うい。現実には、中央と分散のバランスをどう取るかが大事だし、AIを含めた最新テクノロジーをどう活用するかで企業や個人の生き残りが左右される。
DAOやトークンを発行するかどうかは、あくまで選択肢のひとつ。使いどころを見誤れば自己崩壊し、うまく活かせば新たな経済圏を築けるだろう。いずれにしても、当面は「AI×コンサル・情報販売」という形で実利を得ながら、必要に応じて分散型へのステップを検討するのが賢い路線だ。
◆5: 世界は完全に分散する?
読者の中には「いや、もう中央なんか全部潰れてDAOの時代が来るんだろ?」と信じて疑わない人もいるかもしれない。確かに理想論としてはそういうシナリオもありうる。しかし、ぶっちゃけ話をすると、完全分散型になりきるのはおそらく不可能に近い。国家や企業レベルの力が残っている限り、完全な自律分散は起こりづらいし、仮に起きたとしてもハッキングや詐欺のリスクはますます高くなる。
また、トークン発行で一気に億単位の資金を集める例もあるが、それが続くのはほんの一握りだ。大半は無名のまま沈み、詐欺扱いされて終了するパターンが多い。つまり、誰もが想像する「コミュニティトークンで一攫千金!」なんて夢は、冷酷なまでの成功確率の低さを覚悟しなければいけない。
一方で「AIは魔法じゃない」「AIに丸投げすれば全部解決」というものでもない。データがなければAIは分析できないし、トレーニングが不十分だと変な回答を連発する可能性がある。最終的には、人間の知恵と経験がAIを使いこなして初めて成果に結びつく。要するにテクノロジー頼みで爆益なんて甘い話は、ここにも存在しない。
要は、**「カオスの時代にどう動くか?」**はあくまで自分の頭で考えて決めるしかない。分散型コミュニティを立ち上げてもいいし、AIコンサルに注力してもいい。どちらにせよ、従来型の常識や安全圏は崩壊し始めている。そこに“隠れた機会”が眠っているのも事実だし、それを活かせる人だけが次のステージに進めるかもしれない。
◆6: まとめ——カオスこそビジネスの宝庫
最後に一言で総括すると、**「混沌は、確かに面倒くさい。でもチャンスの塊でもある」**ということだ。テレビ局のような大手メディアが転げ落ち、DeFiやDEXが勢力を伸ばし、真偽不明のミームコインが乱立しても、世界が完全に壊れるわけではない。むしろ“中央が崩れて分散化が進む”瞬間ほど、新たなビジネスやコミュニティが勢いを得る歴史的タイミングになりやすい。
DAOやトークンを乱発するのは危険だが、上手く運営できれば中央に依存しない組織として面白い活動ができる可能性もある。そんな中で、今すぐ実践しやすいのはAI×コンサルやコミュニティ運営だ。技術的にも法的にも比較的ハードルが低いから、まずはそこから始めて成果を出すことをおすすめしたい。
最終的なゴールは人それぞれだが、分散化とAI化の波は確実にやってくる。テレビや大手企業を嘲笑するだけではなく、自分自身がその波を使いこなす立場に回るかどうかが勝負だ。面倒なカオスに巻き込まれながら、それを活かして新しいビジネスを作り出す。そんなしたたかな姿勢が、これからの時代を生き抜く人の武器になる。
カオスに呑まれるか、カオスを飲み込むか。それはもう、あなたの行動次第だ。どうせなら、“真ん中”が崩れていく光景を傍観しているだけじゃもったいない。自分のビジネスにAIを取り入れ、必要なら分散型コミュニティの強みも取り入れ、マネジメントできる人材になれば、ちょっとやそっとの混乱に振り回されることはなくなるだろう。
「要はこういうことなんだよ」。世界がゴチャゴチャになればなるほど、中央に頼らない新しい仕組みやAIを使いこなせる人が勝ち組になる。だからこそ怖がらず、だけど無闇に突っ込むのでもなく、一歩ずつ“検証”しながら進んでいく。そのバランス感覚こそが、カオスの時代を切り開く鍵と言える。
おまけ:具体的なチェックリスト例
項目 | 重要度 | チェック内容 |
---|---|---|
1. ビジョン設定 | ★★★ | ・自分が「AI×コンサル」をどう活かしたいか、明確なゴールを決めているか |
2. データ準備 | ★★★ | ・クライアントの売上/広告/顧客など、AIに渡すためのデータを整備できるか |
3. ツール選定 | ★★ | ・BIツール、チャットボット、API連携など、具体的なAIプラットフォームを検討 |
4. 法的リスク確認 | ★★ | ・トークンやDAO化を考える場合、証券法や税務リスクをチェックしているか |
5. コミュニティ運営プラン | ★★ | ・会員制やオンラインサロン運営時、どのようにコミュニティを盛り上げるか |
6. セキュリティとフェイク対策 | ★★ | ・詐欺やハッキングを防ぐための基本的リテラシー、メンバーへの啓蒙があるか |
7. 長期的展望(拡大・分散化) | ★★ | ・順調に拡大した場合、必要ならDAOやトークンを段階的に導入する考えはあるか |
あくまで一例だが、こうしたチェックを前提に動けば、カオスの中でも比較的安全にビジネスを成長させることができるはずだ。
終わりに
世界は急激に変化し、中央が崩れ、分散型コミュニティやAIが渦巻くカオスの時代に突入している。どこか不安定で、何を信じればいいのか分からないが、見方を変えれば**「誰でも新しい仕組みを作れるチャンス」**が目の前に広がっているともいえる。
DAOだって、やり方次第では将来の巨大なイノベーションを生み出す可能性を秘めている。けれど、いきなり飛びつくのはリスキーだ。むしろAIを使ったコンサルやコミュニティ運営など、足元で価値を提供しながらスキルを磨き、必要に応じて分散化を試すのが現実的だろう。
だれも正解を持っていない。けれど、それこそがカオスの魅力だ。自分の直感と理性をフルに使い、状況を分析し、少しずつ進めていけば、意外なほどすんなり成果を得られることもある。既存の中央が崩れていくのを嘆くか、それとも「ここにチャンスがある」と笑うか——それこそ自由だ。
最後に残るのは、「どう動くかはあなたの意思次第」という究極的な結論。しかしだからこそ、混沌からは新たな面白さが生まれる。テレビや従来の企業が崩壊の道を辿ろうが、DEXやミームコインがバブルを起こそうが、それを遠目に見ているだけでは何も始まらない。自分で小さく試し、AIを活かし、結果が出れば拡張すればいい。それだけの話だ。
大きな変革期は、歴史を振り返ればいつもカオスを伴ってきた。その“うねり”に逆らうより、一緒に踊ったほうが楽しい。あとは、一歩踏み出すかどうか——さあ、あなたはどうする?
■追伸:ビジネスを自動化するための無料講座
「ネット集客と販売を自動化するなら, 最低限これだけは知っておきたい」という内容を1冊の教科書としてまとめました。
また, 最近のAIの台頭を受けて, これをどう捉え, どう使うかといった内容も加筆しています。
投稿者プロフィール
-
近況:Netflix, ゲーム, 旅, 趣味の日々。
■趣味
読書, 映画鑑賞, 音楽, 旅行
■ビジネス歴
・2011年9月頃にオンラインビジネスに参入
└ブログ, SNS運用, YouTubeなどの各ジャンルを経験
・オンラインビジネスチームへの参画
└各プロモーションのディレクター兼コピーライター,
他社へのコンサルティングなどを経験
└他社とのジョイントベンチャー(共同事業)
└海外スタートアップへの参加(コミュニティマネジメント, コピーライター)
■現在
・オンラインスクールの運営
・個人, 法人向けのマーケティング, 商品開発等のサポート
■考え方
バイト, 会社員, フリーランス, 経営者...などの働き方を経験した結果,
「群れるより1人で稼ぐ方がストレスが無い」と気づく。
現在は集客, 販売, サービス提供を仕組み化(自動化)。
■活動目的
「自由な人生を実現したい」
「ネットビジネスに興味がある」
「始めたけど結果が出ない」
という人へ最適解を提供。
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