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Toggle0: はじめに
宇宙はやたら広大だ。直径930億光年とも言われる膨大なスケールが広がっているのに、いまだ誰も“確実に”宇宙人と遭遇できていない。SF映画では毎年のように地球侵略ネタが公開され、巨大な母船やら不気味な異星人が登場するのに、現実世界はずっと静かだ。いわゆる「フェルミパラドックス」の核心は、そこにある。
「広すぎる宇宙で、知的生命体が地球だけなんて本当にありえるのか?」──理屈では星の数ほど文明があってもおかしくないはずなのに、実際には見当たらない。まるで“意図的に隠れている”か、そもそも存在しないかのように。
その謎を解くための仮説は山ほどある。生物が誕生する条件が恐ろしく狭いとか、大半の文明が核戦争で自滅しているとか、あるいはみんな“高次元”に移住してしまったとか。今回は、そんな数多ある説の中でも一風変わった「VR引きこもり説」を中心に掘り下げてみようと思う。要は「わざわざ星間移動なんてハードモードを選ばず、仮想空間で悠々と暮らす文明がほとんどじゃないか」という話だ。これが意外と筋が通っていて、少しばかりニヒルな魅力に満ちている。
1: フェルミパラドックス再考──“静寂の宇宙”はなぜ生まれたのか
フェルミパラドックスとは、物理学者エンリコ・フェルミが抱いた素朴な疑問から始まっている。「宇宙には膨大な星があって、そのなかにはいくつもの知的生命体がいてもおかしくない。ならば、どこにいるの?」というやつだ。
- 数だけで言えば、銀河系の恒星は2000億個ほどある。さらに、銀河系は宇宙に数千億以上存在する可能性がある。こんなに星があるのに、地球外の“痕跡”がまったく見つからないのは妙だ。
- 観測技術が発展し、電波望遠鏡や電波通信の歴史もそれなりにあるのに、「あ、今異星人から電波きた!」みたいな直接的で明瞭な証拠はない。
- セチ・プロジェクト(SETI)が地道に宇宙からの信号を探しているが、いまだ決定的なメッセージを受信した形跡はない。
- “地球人と接触を図ろうとする”文明がもしあれば、とっくに何らかの方法で姿を現していてもよさそうなのに、音沙汰ゼロ。
- 「宇宙がやたら広く、スケールに対して光速の壁が厳しいから、ほとんどの文明がすれ違うだけ」という解釈もあるが、それだけでは腑に落ちない部分も多い。
そうして生まれたのが「大いなる沈黙」や「サイレンス」というキーワードだ。どう頑張っても誰とも会えないほど宇宙が空虚なのか、それとも“あちら側”がわざと沈黙しているのか。ここから「外からやってくる宇宙人は物好きな連中だけ説」に繋がっていく。
2: 「VR引きこもり」こそが高度文明の最終形?
今回の主役は“人類補完計画”──要するに、肉体を捨てて意識のみ電脳化し、みんなで仮想空間にこもってしまう、というアイデアだ。SF好きならピンとくる設定だろうし、いわゆる“マトリックス”や“サイバネティック世界”のイメージにも近い。
- 恒星間航行は洒落にならない難易度
まず、星間移動のハードルは想像を絶する。亜光速で移動しようとするだけでも推進装置や莫大なエネルギーが必要で、さらに船内の生態系維持が大変だ。超光速航行は現行の物理法則ではほぼ夢物語。 - 仮想世界に引きこもればコスト激減
ところが意識をデジタル化して、仮想空間で暮らすなら、物理的移動のコストはほぼゼロに近い。必要なのは、サーバー的な物質基盤とエネルギーだが、宇宙船なんぞ作るより遥かに少なくて済むはず。 - 享受できる世界の幅が無限
仮想空間なら理想郷を好きに生成できる。飢餓も温度管理も、現実的には最低限のエネルギーを確保するだけでよく、戦争の火種も(設定次第では)激減する。反乱のリスクも極小化しやすい。 - リスク管理も簡単
船を飛ばして恒星間を旅するとなると、危険は多すぎる。事故、宇宙線、他文明との衝突…。ならば安全・快適に“家にこもる”ほうが圧倒的に効率的だという発想になる。 - 宇宙人同士が互いに“引きこもり”
そんな文明が銀河中に多数あるとして、みんなVR空間に閉じこもってしまっているなら、相互接触の機会はほぼゼロ。我々の観測範囲内に電波を飛ばさないし、積極的に外へ出ようとしないから、いくら探しても見つからないのでは?
要は、高度に発達した文明ほど、「星間旅行よりVRのほうが手軽」という道を選びがちだというわけだ。お金もエネルギーもかからないなら、わざわざ地獄巡りのような星間冒険をしなくなるのは、考えてみれば自然かもしれない。
3: それでも宇宙人が地球を襲ってくるなら“珍プレイ勢”?
ここで生まれる皮肉な笑いが、「でも、映画みたいに宇宙人が地球襲来するケースってどうなんだ?」という疑問だ。仮に本当に襲来する連中がいたとして、そんなハイリスクな恒星間侵攻をやるのは、かなり偏った文明かもしれない。
- VR引きこもりと対極にある文明
戦闘や侵略を好む、あるいは“冒険ロマン”を優先するタイプだろう。効率や資源管理を無視して、とにかく外に打って出る。いわば“勇者”というより“暴走族”に近いかもしれない。 - 現実にある“突撃上等”文化の極端バージョン
地球でも、極めて過激な探検家や冒険者がいる。彼らは安全よりリスクを求め、危険地帯に飛び込んでいく。同じように、宇宙規模でも、超危険をものともしない“珍プレイ派”が存在しても不思議ではない。 - 思いがけない弱点を抱えている可能性
地球のウイルスにあっけなくやられたり、あるいは地球人の謎行動に振り回されて撃退される展開は、SFで定番だ。効率を無視した文明は、細部の対策を考えていないかもしれない。「まあ行けばなんとかなるだろう」とノリで攻めてきて、あっさり崩壊するケースもあり得る。 - 侵略にメリットがあるか?
星を攻め奪ったところで、得られる資源よりもコストが大きいなら普通はやらない。にもかかわらず襲来するのは、よほどの好戦的嗜好か、破滅的思想をもつ集団としか思えない。 - 結局レアケース
大多数の文明が“引きこもり”を選ぶ中、わざわざ無謀な戦いに出る連中はごく僅か。だからこそ“襲来”はレアで、もし起こったら映画のネタになりやすい。
4: 他にも存在する“宇宙人不在”の仮説あれこれ
VR引きこもり説はかなり尖った解釈だが、実のところ、他にもいろいろ魅力的な仮説がある。ここで数例ピックアップして比較してみる。
1: “大きなフィルター”仮説
- 内容:文明がある程度発展すると、核戦争や環境破壊などで自滅しがち。星間移動レベルに到達する前に潰えてしまう。
- ポイント:地球人も例外ではなく、いまここにいること自体が奇跡かもしれない。下手をすると近未来に自滅コースもある。
- VR説との関係:VR引きこもりもある意味“フィルター回避”策の一種。世界全体を仮想化してしまえば、外界の脅威や内部衝突を最小化できる。
2: タイミング不一致説
- 内容:文明の寿命は思いのほか短く、かつ銀河規模では時間差が大きい。お互いが同時期に発展している可能性が低い。
- ポイント:たとえば地球は人類が宇宙へ手を伸ばし始めたのはごく最近(数十年前)。あと千年後には滅んでるかもしれない。そうなると偶然のタイミングが合わない。
- VR説との関係:仮にVR化する前後のわずかな期間にしか“外部と交流しない”なら、他文明と合うチャンスがほぼゼロになる。
3: 大半は道具を使わない生物説
- 内容:知能を持つ生物がいても、道具や機械を発展させる文化を築くとは限らない。そもそも産業革命まで行ける確率は極小だ。
- ポイント:手先の器用さや組み合わせ思考が必須だが、そんな特性を進化の過程で得るのは稀。
- VR説との関係:もし文明化しない生物が大多数なら、仮想空間に入る前にそもそも“森のなかで暮らして終わり”かもしれない。
4: ZOO仮説・監視仮説
- 内容:高次文明は地球を“動物園”のように観察しており、干渉しない協定を結んでいる。意図的にコンタクトを避けている。
- ポイント:もしそうなら、こっちがどれだけ呼びかけても応じない。
- VR説との関係:どのみち干渉しないから、VR空間にこもってもこもらなくても“傍観”するだけかもしれない。
5: VR引きこもり説の魅力──なぜ“合理的”に見えてしまうのか
じゃあなぜ、この“ちょっと不気味な”電脳引きこもりアイデアが多くの人を説得し得るのか。背景にはいくつかの理由がある。
- 人間の行動でも似た傾向がある
休日は外に出ず、ネットで動画を見てゴロゴロ過ごす。旅行もいいが、準備や移動が大変で、下手するとトラブル続き。好き者は旅に出るが、多くは家で快適に過ごす選択をしがちだ。いわば“安全志向”は普遍的。 - 技術開発の方向性
現代社会でもVRやAR、メタバースといったバーチャル領域へ投資が集中している。宇宙開発も進んではいるが、VRやAI技術に比べるとどうしても時間とコストがかかる。先端技術企業も、長期的には肉体を超えたネットワークや意識アップロードを志向しているのでは?という声もある。 - SF作品の多用
マトリックスや攻殻機動隊、その他いろいろなサイバーパンク作品は、「電脳化された人類」の描写にリアリティを与えてきた。もし宇宙開発とVR技術のどちらが“経済的”かと問われれば、VRのほうが早そうだ。 - リスクとリターンのバランス
極端に言えば、星間航行はリスクの塊。興味本位で飛び出すには代償が大きい。もし高度文明になればなるほど保守的になると仮定すると、VRのほうがベストプラクティスに見えてしまう。 - “永遠の疑似天国”を構築できる甘美な罠
仮想空間が十分リアルなら、そこに閉じこもるのも悪くない。誰もが理想の世界を生きられるなら、あえてハードな現実宇宙に出る動機が失せる。
6: 過激な真実──もしかすると地球人類も同じ道を辿る
ここでちょっと辛辣な主張を挟んでみたい。みんな「いつか人類は星の海へ」とロマンを語るが、実際にはVR化へ向かう可能性のほうが高いんじゃないか?という点だ。
- 宇宙開発はコストばかりかかり、国際協力も簡単じゃない
国や企業の規模が大きくなるほど、リスクと労力が膨大になる。巨大ロケットを何十年も作り続けるには莫大な予算が必要。一方VRはゲーム産業をはじめすでに収益モデルが整っており、投資家から見ても成功率が高い。 - 肉体が要らなくなれば、環境問題も社会問題も一気に解消可能?
食糧危機や資源問題、少子高齢化…。もし人類がデータ化すれば、消費エネルギーは激減して、地球環境への負荷も減る。だからSDGsやESGの究極版としては、VR世界が“答え”という笑えない話もある。 - 移住先を探すより、今ある星を半ば放棄して電脳籠城
火星や月に移住する構想はあるが、まだ遠い先のこと。放射線問題や大気生成などの課題は山積み。技術的ブレイクスルーが必要だが、VR化はわりと目の前にありそうだ。 - 既得権益の衝突が起きたら、エリートだけVR化?
なんともディストピア的だが、「最先端の金持ち階層だけ完全電脳化し、他は置いてけぼり」みたいな未来はSFに限らずしばしば語られる。“貧富の差”がリアルと仮想の壁を生む可能性もある。 - 引きこもり化を認めたくないが、最後にはそっちへ進む
宇宙を夢見るロマンは美しい。しかし合理性を突き詰めれば、結果として“星を捨てて仮想空間に籠るルート”を選ぶのが進化の必然かもしれない。このあたり、人類としては受け入れがたいが、認めたくない“過激な真実”といえる。
7: 似た話はほかの分野でも──「外に出る努力 vs. 内にこもる快適さ」
この対比は実は、宇宙の話に限らない。日常生活やビジネスでも「攻めるか、守るか」「リスクを取るか、安定するか」という構図が散見される。ここでいくつか一般的な例に触れてみよう。
1: 企業の海外進出と国内での安定ビジネス
- 海外に進出して新市場を狙うのは魅力があるが、言語や法律などリスクも多い。
- 国内だけでそこそこ稼げるなら、わざわざ危険を冒さないほうが簡単かもしれない。
- 結果として、気合いのある企業だけ海外へ出て、多くは国内で“そこそこの利益”を確保して落ち着く。
2: 学生の部活選び
- 強豪校の激烈な運動部で全国大会を目指すか、それともゆるいサークルで楽しむか。
- 「死に物狂いで練習して得られる達成感」か、「気楽に遊んでストレスフリー」かという選択。
- 大多数が“そこそこ”を好み、少数の猛者が真剣に大舞台を狙いにいく。
3: 転職や起業 vs. 安定就職
- 自分の才能を信じて起業する人は一握り。ほとんどは安定収入を求めて会社勤めを選ぶ。
- たまに起業家が大成功すると話題になるが、それは“珍しい”ケースだからこそ目立つ。
- リスクとコストを考えたら、無難に守りに入る人が多いのも自然といえる。
こうして見てみると、人類の文化圏ですら“攻め”より“守り”を好む割合は少なくない。ましてやリスクも規模も桁違いの恒星間航行ともなれば、大多数がVR引きこもりを選んでも不思議じゃない。
8: もし“本当に”VR引きこもり文明が主流なら、どうなる?
あくまで仮説だが、本気で銀河系の大半がVR世界に閉じこもっているとしたら、どういう未来が予想されるか。
- 地球が遭遇する確率はほぼゼロ
彼らは外部に干渉しない。通信もしないし、旅もしない。だからいつまでたっても我々が何も見つけられないのは当然。 - 宇宙に漂う“電脳化文明のサーバー”
もしかすると、彼らが閉じこもっているサーバーや機械装置が惑星内部に隠されているかもしれない。外側から見ればただの荒涼とした星かもしれない。 - 技術が進めば進むほど、外の世界への興味が薄れる
高次元・高性能な仮想現実を構築できるほど、リアル宇宙の旅なんて冗談に思えるかもしれない。「わざわざ危険だらけの外界に出る理由ある?」という発想になりがち。 - 観測不可能という壁
我々がどんなに電波望遠鏡を向けても、“静かなる星”しか映らない。文明の“内部”は完全に閉ざされ、何らアクティブな信号を発しない。 - もし地球が同じ道を辿るなら“会えないまま”
これが最大のオチかもしれない。我々もいつか全員が電脳化し、恒星間交流の夢を語る前に“深い井戸”へ引きこもる。結局、宇宙規模で仲間に出会えないまま時が過ぎていく。
9: ロマンと絶望のはざまで
この説を聞いて「そんなの味気ないし、夢がない」と思う人は多いはず。古典的な宇宙SFの醍醐味は“辺境の惑星を探検し、未知の生物と出会う”ことにあるからだ。だが厳しい現実問題として、エネルギーコストとリスクがあまりに大きい場合、普通はリターンが釣り合わなくなる。
- 過激な主張:宇宙開発は一握りの“珍プレイ”か大国の軍事利用が主になる
国家レベルの競争、あるいは特定の富裕層や大企業が趣味的に取り組むというシナリオ。大多数はそもそも「ご勝手にどうぞ」というスタンスになりかねない。 - 認めたくないが、“内向き”こそが人類の本質?
人間社会を見渡しても、外へ挑戦するタイプはいつの時代も少数派だ。大半は日常を守るので精一杯。経済も社会制度も“無難路線”で回る傾向が強い。 - テクノロジーの進化が意外とその流れを加速
インターネットやAIが発展すると、在宅で稼ぐ人が増え、バーチャル世界が拡充し、リアルに出る必要性が減る。宇宙に限らず“引きこもり”を容易にする方向へ向かいがちだ。 - じゃあ宇宙はどうなる?
結論として、宇宙へ進出する者は極少数。運がよければ壮大な探検・開拓に成功するが、大抵の文明はそこまで続かないか、途中で興味を失って“内”にこもる。 - 要はこういうこと
“スペースオペラ的な銀河大航海”は幻想で、もっとメタでクローズドな形で文明が完結してしまうかもしれない。これが認めたくない現実でもある一方で、合理的な道にも見えてしまう。
10: 具体的なアクションプラン──もし「VR化ルート」を本気で考えるなら
ここで、おまけとしてアクションプランを挙げてみる。大袈裟に聞こえるかもしれないが、テクノロジーの進歩を見据えると笑えない話だ。
- ステップ1: 脳とAIインタフェース研究の促進
- すでにブレイン・マシン・インターフェース(BMI)は研究が進んでいる。脳波でロボットを操作したり、機械の命令を脳へ直接送る実験がある。
- これが進歩すれば、段階的に感覚や思考をデジタル化し、仮想空間へ接続する技術が洗練される。
- ステップ2: 仮想世界の“社会制度”構築
- VR内で経済活動や法制度がどうなるかを試行錯誤する必要がある。既存のメタバースやオンラインゲームでの事例から学びつつ、権利やモラルをどう守るか考える。
- 万人が電脳化したら“領土”も“国家”も曖昧になる。そこをどう運営するのかは、真面目に議論しないと混沌に陥る。
- ステップ3: エネルギー問題と持続可能性
- 仮想空間でもサーバーを動かす電力は必要。太陽光や核融合エネルギーなどの大規模安定供給源を確保しておかないと、“VR世界”も長続きしない。
- 肉体の維持をどうするか、人間らしい寿命をどう扱うかという倫理的課題も出てくる。
- ステップ4: 肉体を捨てるかどうかの社会的合意
- 全員が賛成するとは限らない。肉体派とデジタル派が衝突するかもしれない。
- 過渡期には“一部の金持ちだけがVR化”して格差が拡大する危険性もある。制度的なルール作りや倫理観が問われる。
- ステップ5: 完全移行 or 並行共存
- 最終的には“完全電脳社会”へ移行するか、人間の肉体社会とVR社会が並行するか。どちらの道もリスクはある。
- ただし、仮想世界が充分に快適なら、やがてほとんどがそちらに移ってしまう可能性も大いにある。
11: VRはもうすでに始まっている説
さらにぶっ飛んだ視点を交えるなら、「我々自身がすでに仮想空間の住人かもしれない」というシミュレーション仮説がある。もしそれが真実なら、フェルミパラドックス自体がナンセンスになる。なぜなら、今ここが“シミュレーター”の中で、宇宙の広大さや星間移動の困難さもプログラムされた設定に過ぎない可能性があるからだ。
そう考えると、“外”にいるのは我々の想像を超えた存在かもしれないし、そもそも外なんてないのかもしれない。VRを選ぶどころか、初めからVRに閉じこめられているとしたら、これ以上の皮肉はないだろう。
12: まとめ──“静かな宇宙”は当然の帰結か
すべての論考をひとまとめにするなら、こうなる。「高度文明が外に出ない=会えないのは当たり前」。なぜなら、超先進技術を得たら、よほどの物好きじゃない限り仮想空間に逃げ込むほうが楽で安全だからだ。そして、それこそがフェルミパラドックスの一つの解になり得る。
- 宇宙が無人に見えるのは、“みんな家でゴロゴロしてる”だけかもしれない
リアルに外を出歩くより、自宅でネット三昧のほうが楽しいし安い、という発想の銀河版だ。 - 出てくるのは“珍プレイ勢”のみ
稀に現れても、危機管理がザルであっさり退散するか滅びるか。だから映画みたいな“あっけない敵役”が再現される。 - 人類もいずれそうなる?
下手をすると、我々も数百年後、あるいは数千年後には完全電脳化へ進むかもしれない。知らぬ間に外界への興味を失っているほうが自然なのかも。 - ロマンか現実か
宇宙開発を進めて銀河の果てを目指すという夢は、依然として人を惹きつける壮大なロマン。しかし、現実のコストとリスクを天秤にかければ“仮想ルート”のほうに軍配が上がる可能性は高い。 - だからこそフェルミパラドックスは解決しない
いや、むしろ「解決できないことこそが答え」なのかもしれない。みんな外に姿を見せないような形で完結しているから、いつまでも会えない、という点で言えば“既に解決済み”なのだろう。
13: 最後に──認めがたい結末への小さな抵抗
この引きこもり説は、なにやら息苦しさも感じさせる。地球外の仲間との邂逅、未来の大航海時代に胸を躍らせる人には受け入れがたいシナリオだ。それでも一部の“挑戦者”が現れる限り、人類が本当にVRへ引きこもるだけの結末になるとは限らない。
- 探検家や天文学者の存在
リスクがあっても宇宙へ飛び出す人や組織は、地球にも確かにいる。スペースXやNASAなどの活動が先鞭をつけているし、民間宇宙旅行も一部始まった。 - 未知への好奇心
どんなに仮想現実が洗練されても、未知の本物を求める心は消えないかもしれない。自分の目で“他の星の空”を見たいという欲求は、意外なほど強力なモチベーションだ。 - 温故知新の可能性
もしかすると、VR技術がめちゃくちゃ発達してからこそ、改めて“リアルの地平”を目指す文明もあるかもしれない。いったん全員が電脳化した後、「やっぱり肉体と現実の星空がいい」という逆行ブームが起こる可能性も0ではない。 - 結局、選択は多様
“みんなVRへ突き進む”か“みんな宇宙へ出る”かという二極論ではなく、文明ごとにバラつきがあるはず。だからこそ、宇宙が本当に静まり返っているのかは、まだ断言しきれない。 - それでも“沈黙”が続くなら…
やはり「大半は既にVR行き、もしくは滅亡」という結論が、残酷な説得力を持ってしまう。
14: 余韻──“出会わない”ことこそ当たり前の宇宙
長々と語ってみたが、結局ここに落ち着く。宇宙が静かなのは、もはや驚くべきことじゃなく、むしろ自然な状態なのではないか。外に打って出るなんて、あまりにコスパが悪い。普通の知的生命体なら、そこに気づいて引きこもる。だから何千億光年見渡しても、誰も手を振ってくれない。
この説が真実かはわからない。もしかすると明日にでも、突拍子もない異星人艦隊が空に現れ、人類社会を震撼させるかもしれない。でも、その時こそ「あぁ、やっぱり偏った珍プレイ勢が来たか」とニヒルに納得する未来が来るのかもしれない。
15: おわりに──新たな気づきと、小さな希望
フェルミパラドックスは「会えない」ことを憂う悲壮な問いでもあるが、その本質は「だからこそ宇宙の謎は面白い」という発見にあると思う。もし世の中が単純で、銀河中を宇宙人がうろついていたら、逆にロマンも半減だろう。
今回の“VR引きこもり説”は、文明の進化と合理性を突き詰めると、意外にもおとなしく外に出ない方が多いんじゃないかという主張を軸にしてきた。それは人類の未来を暗示するものでもあり、希望を砕くものでもある。いや、むしろ別ルートとしての宇宙開発をあえて目指す“数少ない冒険者”の光を引き立てる構図ともいえる。
宇宙が沈黙している理由は一つではないはずだ。VR説も含め、いろんな仮説をぶち当てながら、「いつかどこかで出会う日」を想像するのも悪くない。たとえ答えが出なくても、問い続けることこそが“知的生命体らしい営み”かもしれない。要するに、フェルミパラドックスは“会えないことの正体”を探る旅そのもので、旅の終わりはまだ見えない。そこに途方もないロマンが宿っている──たとえ大半が“引きこもり”だとしても、ね。
以上が、「なぜ我々は宇宙人と出会わないのか?」──そして「本当に高度文明が星間移動よりVR引きこもりを選ぶのか?」をめぐる考察だ。ロマンと現実、そして皮肉が混ざった話だけに、いろいろ複雑な感情も湧く。だが、こういう仮説ほど人類の想像力を刺激し、新しい発想を引き出してくれるのではないだろうか。
誰もが認めたがらない真実に、ひょっとしたら手が届きかけている──そう思うと、少しだけワクワクしてしまうのが、なんとも人間的で愛おしい。
■追伸:ビジネスを自動化するための無料講座
「ネット集客と販売を自動化するなら, 最低限これだけは知っておきたい」という内容を1冊の教科書としてまとめました。
また, 最近のAIの台頭を受けて, これをどう捉え, どう使うかといった内容も加筆しています。
投稿者プロフィール
- そうた
-
近況:Netflix, ゲーム, 旅, 趣味の日々。
■趣味
読書, 映画鑑賞, 音楽, 旅行
■ビジネス歴
・2011年9月頃にオンラインビジネスに参入
└ブログ, SNS運用, YouTubeなどの各ジャンルを経験
・オンラインビジネスチームへの参画
└各プロモーションのディレクター兼コピーライター,
他社へのコンサルティングなどを経験
└他社とのジョイントベンチャー(共同事業)
└海外スタートアップへの参加(コミュニティマネジメント, コピーライター)
■現在
・オンラインスクールの運営
・個人, 法人向けのマーケティング, 商品開発等のサポート
■考え方
バイト, 会社員, フリーランス, 経営者...などの働き方を経験した結果,
「群れるより1人で稼ぐ方がストレスが無い」と気づく。
現在は集客, 販売, サービス提供を仕組み化(自動化)。
■活動目的
「自由な人生を実現したい」
「ネットビジネスに興味がある」
「始めたけど結果が出ない」
という人へ最適解を提供。
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