経済・社会

【自己破産】スタートアップ失敗談から見る起業のリアル

1. “自己破産まで追い込まれる”スタートアップ失敗のリアル

大学在学中、22歳でスタートアップを立ち上げ、VCから1,800万円、金融機関から2,000万円の融資を得て一気に事業を加速させた若手起業家のエピソードがある。

彼は“生成AI×SEOツール”という、当時としては先端的な事業アイデアに挑戦していた。

ChatGPTなどでAIブームが爆発する1年ほど前に着手していたという点では、時代の先取り感もあった。

ところが、ピッチを行っても投資家からは「よくわからない」「まだ市場がついてこない」という反応が続き、追加の資金調達がままならない。

開発コストは膨らみ、メンバーの給与やオフィス家賃などであっという間にキャッシュが底をつく。

気づけば、エンジニアやコアメンバーが一斉に離脱し、まさに“船を降りる”ように去っていく。その後は事業を畳まざるを得なくなり、個人保証付きの融資が残っているため、代表者個人に多額の債務がのしかかる。

最終的に自己破産まで追い込まれ、免責許可を得るまで約2年の月日と膨大なストレス、裁判所や弁護士への費用などを要したという。

このエピソードは何も“レアケース”ではない。

日本のスタートアップ界隈では、連帯保証付き融資を受けて若手ベンチャーが失敗し、個人破産に至る事例はけっして珍しくない。

どちらかといえば日常茶飯事レベルかもしれない。

しかし、この手の話は多くの場合“成功した後の失敗談”として語られることが多く、いま現在どん底にいる人がリアルタイムで語ることは少ない。

だからこそ、このような赤裸々な事例には耳を傾ける価値がある。

「VCマネーを入れて世界を狙う」。

その華やかな響きの裏で、これほどまでリスキーなゲームに挑んだ若手経営者がいた。

これはまぎれもなく、現代の「起業ブーム」の裏側に潜む落とし穴のひとつである。

2. 終身雇用の崩壊と“自衛”としての個人ビジネス

一方で今、日本は終身雇用のシステムが揺らぎつつある。

かつては“新卒で入った会社を定年まで勤め上げる”のが当たり前だったが、大手企業ですら早期退職募集をかけたり、事実上リストラするケースが出ている。

給与水準も右肩上がりどころか、むしろ停滞気味で、物価だけが上昇している。

こうなると、会社に勤めるだけで将来安泰とは言い難い。

「自分で稼ぐスキルを持っておかないと、いつ仕事がなくなるかわからない」という危機感から、副業や兼業で“自分のビジネス”を始める人が増えているのが現状だ。

社会保障制度がいま後退しつつあり、年金だけで老後を過ごせるかも怪しい。

雇用形態も多様化して、非正規雇用が増え、個人に委ねられるリスクが広がっている。

そうした不透明な時代だからこそ、多くの人が「なんらかの形で自分の収益源を持ちたい」と感じている。

同時に、インターネット環境とPC1台(スマホ1台)あれば十分に稼げる仕組みが整いつつあるのも事実。

WebマーケティングやSNS運用、アフィリエイト、コンテンツ販売、オンラインコンサル、プログラミング副業など、比較的少額の資金でスタートできるビジネスが続々と生まれている。

3. スタートアップ vs. スモールビジネス —— どちらを選ぶか

“スタートアップの失敗談”を聞くと、「じゃあ起業は危険なのか?」という極端な発想になる人もいるかもしれない。

だが、そもそもスタートアップとスモールビジネスはゴール設定がまるで違う。

スタートアップの特徴

  • VCやエンジェル投資家から資金調達する場合が多い。
  • 数年で爆発的に成長し、M&AやIPOなどのイグジットを狙うのが常道。
  • スケールの早さと大きさを追求するため、固定費や開発コストも莫大になる。
  • 失敗すると莫大な負債を抱えるリスクを負うことが多い。

スモールビジネスの特徴

  • 資金調達をせずに個人資本や少額投資でスタートできる。
  • 月商100万~300万、あるいはそれ以上の利益を“一人か少人数で確保”できればOKという考え方。
  • 事業の方向転換がしやすく、失敗してもダメージが比較的小さい。
  • 大きな仕組みやイノベーションを目指すよりも、目の前のキャッシュフローを堅実に積み上げる。

いわゆる「一人起業」「小規模経営」なら、数百万円程度の投資で月商100万円以上に成長させる可能性は十分あるし、事業が安定してきたらリスクの低い形で拡大することもできる。

VCから億単位の投資を受けて世界を目指す道と比べると地味かもしれないが、PC一台あれば十分に生計を立てられるビジネスモデルはたくさんある。

雇用を生まないから社会的貢献が小さいとも言いづらい。

クラウドソーシングでフリーランスに仕事を発注する形も立派に“雇用”の一種。形はどうあれ、回っている経済圏があるわけだ。

4. PC1台でも実現できる収益モデルの数々

では、実際にPC1台でも月商100万円以上を作れるビジネスにはどんなジャンルがあるのか。

コンサルタントやコピーライター、プログラマーがフリーで活躍するのはもちろん、オンラインサロンや個人教材販売など、あらゆる形が存在している。

ここではあくまでも“具体例”に触れるにとどめておくが、どれも実際に成果を上げている人が少なくない。

  1. アフィリエイト / 広告収入
    ブログやサイト、SNSを運営し、そこで商品やサービスを紹介することで成果報酬を得る。YouTubeなどで広告を掲載して収益化する手法も含まれる。有名事例だと月数百万円どころか数千万円稼いでいる人もいる。
  2. オンライン講座 / コミュニティ運営
    自分の専門分野のノウハウを体系化し、動画コンテンツやPDF教材として販売したり、月額制のコミュニティを運営して受講生に指導するモデル。スキルがあれば大きく伸びる可能性がある。
  3. コンサル / アドバイザー
    WebマーケティングやSNS運用、経営戦略、ライフスタイル関連など、自分が得意な分野で相談に乗り、有料でアドバイスする。顧問契約や月額フィーを設定すれば安定収益につながるケースもある。
  4. 受託制作 / 代理店ビジネス
    広告運用を代行したり、Webサイトを制作したり、SEOを請け負ったりといった専門技術の受託を個人で行う。クラウドソーシングやSNSを通じて企業から案件を獲得し、収益を積み上げる。
  5. デジタルコンテンツ販売
    イラスト、音楽、写真、プログラムなどのデジタル作品をオンラインマーケットプレイスで販売する。NFTでの活用もあるが、現状では著作権やプラットフォームの動向など注意点が多い。

これらはいずれも、在庫や実店舗を持たずともPC(とネット接続)があれば始められる。

もちろん実務スキルやマーケティング知識は必要だが、ゼロから始めるハードルはどんどん下がっている。

5. AIが後押しする“個人ビジネス”の破壊力

今、世界的にAIブームが巻き起こっている。ChatGPTやGoogle Geminiなどの生成AIだけでなく、画像生成AIや音声合成、プロセス自動化系のRPAツールなど、無数のサービスが登場している。

AI技術を活用すれば、個人でも高度な仕事を効率よく行うことが可能になりつつある。

  • 文章作成 / コピーライティングの自動化
    ChatGPTのような言語モデルを使えば、記事やブログの下書きを一瞬で生成できる。コピーやセールスレターのアイデア出しにも使えるし、校正や誤字脱字チェックの手間も減らせる。
  • 画像 / 動画制作の効率化
    画像生成AIならデザインのアイデアやイメージ作りをサポートしてくれるし、動画編集を自動化するツールも出てきている。個人でも“それなりのクオリティ”を短時間で実現できる時代だ。
  • カスタマーサポートの自動化
    チャットボットやメール対応の自動化など、少人数でも大量の顧客対応が可能になる。結果として営業やマーケティングにも人手を回せるから、少人数ビジネスにとっては大きなアドバンテージになる。

実際、スタートアップの世界でもAI活用は大きなテーマだが、“個人ビジネス”の世界でも同じか、それ以上に革命的な変化を起こしている。

外注やアルバイトを雇わなくても、AIがある程度の作業を肩代わりしてくれるため、極端な話「一人+AI」で100人力を超えるパフォーマンスを出せる可能性がある。

6. 大きく勝つか、小さく確実に積むか —— スケール感の違い

スタートアップで大きく資本を入れる場合、ビジネスのスケールと成長速度は確かに爆発的になる可能性がある。

だが、その分、マネタイズに時間がかかったり、赤字を埋めるために延々と資金調達が必要だったり、とにかく“いつか大きく花開く”ことを前提とした長期戦になりやすい。

スモールビジネスの場合は、あくまで個人の生活費を賄いながら、うまくいけば月商数百万レベルまで伸ばす。

ここに大きな資金調達は必要ないし、そもそも投資家が求める“爆発的成長”を約束する必要もない。

  • 大きく勝つ(スタートアップ型)
    • 億単位の資金を投下して短期で成長。
    • 製品・サービスが社会全体に大きなインパクトを与える可能性あり。
    • 失敗した場合の負債や損失が膨大。
  • 小さく確実に積む(スモールビジネス型)
    • 個人・少人数で小回りよく運営。
    • キャッシュフローを重視した堅実路線で、失敗しても取り返しやすい。
    • IPOやM&Aといった“大きなゴール”を目指さないからこそ自由度が高い。

多くの人が抱いている「起業=ハイリスク」なイメージは、スタートアップかつ大型の投資を伴うケースを想定していることが多い。

しかし、“起業”にはいろんな形がある。

極端に言えば、正社員で働きながら副業でコツコツとブログアフィリエイトをやるのも立派な「起業的行為」だ。

7. “信用ブラック”になった起業家が見据える再起のシナリオ

先述のスタートアップ失敗談でもあったように、日本の場合は個人保証付きの融資を受けると、法人が倒れたときに代表者個人が連帯して返済責任を負うケースがほとんど。

結果として、自己破産→信用情報のブラック化に追い込まれる人が後を絶たない。

ブラックになるとクレジットカードが作れなかったり、賃貸審査に落ちやすくなったり、車のローンが組めなくなったりと生活にも影響が出る。

ただ、デビットカードや電子決済が使えるから生活必需品の購入は問題ないし、全く身動きが取れなくなるわけではない。

さらに、破産後も企業経営そのものはできる(法的には制限されない)。信用情報に傷があると銀行融資などは厳しくなるが、自己資金と売上をベースに小さくビジネスを始めることは可能だ。

クラウドファンディングや出資を引き受けてくれる投資家とのマッチングなど、資金調達にもさまざまな方法がある。

つまり、「大きくこけたから人生終了」ではない。

海外では“何度も失敗して再起をかける”のが普通だったりするし、日本国内でも失敗に寛容な風潮が徐々に広がっている。

もちろん、信用情報ブラック状態が全くストレスフリーなわけではないが、そこから新たな一歩を踏み出している起業家も確実に存在する。

8. 自分のビジネスを育てるために必要なマインドセット

副業やスモールビジネスでも、実際に成果を出すにはある程度のマインドセットが必要。

具体例を挙げればキリがないが、以下のポイントは意外と軽視されがちなので押さえておきたい。

  1. “継続”と“仕組み化”がすべて
    一発のアイデアや情熱だけでは売上が安定しない。毎日コツコツ発信したり、コンテンツを積み上げたり、少しずつ仕組みを作っていく継続力が鍵。
  2. プラットフォーム依存からの脱却
    SNSやYouTubeのアルゴリズム変更で収益が激変する可能性がある。自分のサイトやメールリストなど、直接顧客にアクセスできるチャネルを育てておくのは必須。
  3. 自分の強みを明確化する
    市場にあふれるビジネスの中で、どう差別化するか。結局“自分の得意分野”を活かすのが一番早いし、説得力も出る。
  4. 失敗を小さく始める
    スモールビジネスの利点は、初期投資が小さいこと。少しずつ失敗し、少しずつ成功体験を重ねるサイクルを回すことでリスクを最小化できる。
  5. 時間管理・セルフコントロール
    個人ビジネスは自由度が高い分、自分を律する力がないとダラダラしてしまう。“今やるべきこと”を確実に実行するためのタスク管理やモチベーション維持が必須だ。

9. 未来はどうなる? 個人で稼ぐ選択肢と可能性

少子高齢化の進行、グローバル競争激化、インフレや為替変動など、不確定要素が山積みの時代。

企業側も終身雇用を守る余力がなく、短期契約や成果主義が当たり前になってきている。

そうした環境下で、ますます「自分で稼ぐ力」を手にする必要性は高まるだろう。

現状でも、

  • 20代で在学中起業→失敗→自己破産を経験した人
  • 会社に勤めながら副業で毎月数十万を安定して稼いでいる人
  • ソロでAI技術を駆使し、ほぼ一人でバーチャルな“会社ごっこ”をやっている人

など、多種多様な事例が生まれている。

ネット・ITリテラシーさえあれば、海外向けに情報発信することで国内よりも高い収益を得る方法だってある。

もはや不可能だと思うような選択肢は少ない。

将来的には、AIがさらに進化し、単純作業はほぼ自動化されるとの見方もある。

そうなれば“大量雇用”の前提が崩れ、ますます“個人で稼ぐ”スキルの重要性が増すかもしれない。

AIを使いこなしながら自分の強みを世界へ発信できる人が、組織に頼らずとも豊かに生きられる社会になる可能性は大いにある。

10. まとめ —— 今こそ自分のビジネスを持つ意義

スタートアップの失敗談は確かにショッキングだが、それはあくまで「ハイリスク・ハイリターンの勝負に出た」ケース。

もっと小さくリスクを抑え、“個人ビジネス”として挑戦するならば、失敗しても取り返しは容易だ。

PC一台あれば十分に稼げる時代、AIを活用すれば一人でも大きな価値を生み出せる時代。

そんな環境が整っている今こそ、自分のビジネスを小さくても持っておく意義は大きい。

  • 会社の給与や社会保障が今後どうなるかわからない。
  • 雇用の安定が崩れ、個人がリスクを負う時代になる。
  • スタートアップほど大きくなくても、月商100万~300万クラスは目指せる。
  • AI活用で一人でも高い生産性を出せる。

もちろん「雇われ続ける道が悪」というわけではないし、大規模スタートアップが夢を見せてくれる部分もある。

ただ、不透明な時代を生き抜くうえで、収益源を自分自身で確保できる力を身につけるのは、もはや当たり前の“自衛策”だと言っていい。

大事なのは「どんなやり方で、どのくらいの規模でビジネスを回すか」を自分でデザインできること。

誰かに決められたレールに乗るのではなく、自分の意思と戦略で道筋を引けるという事実こそが、やがて“自由”をもたらす。

雇用が変化し、価値観が多様化し、技術が急速に進歩する今の時代。

起業に対してはどうしても“失敗=怖い”というイメージが残るけれど、リスクの取り方次第ではそれも最小限に抑えられる。

自己破産まで追い込まれた起業家の話や、PC1台で月商数百万を稼ぐ個人ビジネスの事例は、両極端に見えるかもしれないが、本質的には同じ問いを投げかけている

——「自分はどんな未来を描き、どのくらいのリスクを取って、何を得たいのか?」という問いだ。

そして最終的には、どちらの道を選んでもいい。

大事なのは、どの方向に進んだとしても「自分の足で立てる力」を少しずつでも身につけていくこと。

そうすれば、たとえどんな変化や危機が訪れても、柔軟に戦略を練り直し、再起を図ることができるはずだ。

つまり——
個人ビジネスを持つことは、安定した人生を手にするための最善策の一つでもあるし、自己実現を追求する手段でもある。

どちらにせよ“自分でコントロールできる人生”を手に入れるという意味で、これほど頼もしい選択肢はそう多くない。

自分自身が舵を握り、好きなタイミングで向かう方向を変えていい。

ビジネスを大きくしてもいいし、あえて小さく維持してもいい。

個人の意志が反映されるビジネスを一つ持つだけで、生き方の選択肢は想像以上に広がる。

いま、個人がビジネスを持つ敷居は高くない。スタートアップの世界だけが“起業”じゃない。

もっとカジュアルに、“副業”という小さな種から始まる自己実現ストーリーが待っているかもしれない。

誰がどう生きるかは、その人自身の価値観次第。けれど、終身雇用が薄れ、物価が上がり、年収は停滞し、AIがどんどん発達していく世界で、「自分のビジネス」を持っているかどうかは、これまで以上に大きな差を生むだろう。

未来への備え、そして自分らしさを貫くための武器として、今こそ“PC1台ビジネス”をはじめ、柔軟で強い個人経済圏を構築してみるのも悪くないはずだ。

この記事を読んだ人が、スタートアップのリスクやスモールビジネスの魅力、自分のビジネスを持つ意義について一歩踏み込んで考えるきっかけになれば嬉しい。

失敗事例から学び、AIの時代に合わせて進化しながら、誰もが自分に合った形で“起業”を捉えられる社会は、案外すぐそこに来ているのかもしれない。

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投稿者プロフィール

そうた
そうた社会を静観する人
近況:Netflix, ゲーム, 旅, 趣味の日々。

■趣味
読書, 映画鑑賞, 音楽, 旅行

■ビジネス歴
・2011年9月頃にオンラインビジネスに参入
└ブログ, SNS運用, YouTubeなどの各ジャンルを経験

・オンラインビジネスチームへの参画
└各プロモーションのディレクター兼コピーライター,
 他社へのコンサルティングなどを経験
└他社とのジョイントベンチャー(共同事業)
└海外スタートアップへの参加(コミュニティマネジメント, コピーライター)

■現在
・オンラインスクールの運営
・個人, 法人向けのマーケティング, 商品開発等のサポート

■考え方
バイト, 会社員, フリーランス, 経営者...などの働き方を経験した結果,
「群れるより1人で稼ぐ方がストレスが無い」と気づく。
現在は集客, 販売, サービス提供を仕組み化(自動化)。

■活動目的
「自由な人生を実現したい」
「ネットビジネスに興味がある」
「始めたけど結果が出ない」
という人へ最適解を提供。

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